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不眠症の男性は早死にしやすい?

2014.09.04

不眠症の男性は早死にしやすい? はコメントを受け付けていません。

あなたは寝つきが悪くないだろうか。不眠症の人が聞いたら余計に眠れなくなりそうな研究結果が明らかになった。慢性的な不眠症で1晩の睡眠時間が6時間未満の男性は、毎日6時間以上眠る男性よりも早期に死亡するリスクが高いという。

 不眠症は最も一般的な睡眠障害で、寝つきが悪い、何度も目が覚めるといった症状がある。アメリカ睡眠医学会(AASM)によると、アメリカ国民の約30%が不眠症に悩んでいるという。症状が1年間以上続いている人は「慢性不眠症」と診断される。

 不眠症については長年さまざまな研究が発表されてきた。「今回、死亡率の上昇など大きな身体的影響を及ぼす深刻な病気だと明らかになった」と、研究責任者でペンシルバニア州ハーシーにあるペンシルバニア州立大学睡眠研究治療センター(Sleep Research & Treatment Center)所長のアレクサンドロス・N・ブゴンツァス(Alexandros N. Vgontzas)氏は話す。

 睡眠不足を訴えた人々とライフスタイルの因果関係まで具体的に調査したわけではないが、「どのような理由があっても、睡眠不足は健康によくない」とブゴンツァス氏は強調する。一例として、同氏が以前発表した論文によれば、若年層が睡眠時間を2時間削って1週間過ごしただけでも、心血管疾患を引き起こす炎症にかかりやすくなるという。

 1990~1995年、ブゴンツァス氏のチームはペンシルバニア州で20~100歳の男性741人(平均年齢50歳)を無作為に選び、研究の第1段階に参加してもらった。被験者は不眠症かどうかを自己申告し、実験室で1晩過ごした。その際に各被験者の睡眠時間が記録された。

 被験者の自己申告と睡眠時間の記録を組み合わせたところ、6%が慢性的な不眠症であると判定された。

 一方、1994~1997年に同じ年齢層の女性1000人を対象に調査したところ、慢性と判定されたのは9%だった。

 男性は調査から14年、女性は10年経過した2007年に調べてみると、1晩の睡眠時間が6時間未満の慢性不眠症男性のうち51.1%が亡くなっていた。これに対し、通常の男性の死亡率は9.1%だった。

「喫煙、肥満、睡眠時無呼吸などのリスク要因を考慮したとしても、慢性的な不眠症の男性が早期に死亡する可能性は通常の4倍高いという結果になった」とブゴンツァス氏は語る。

 女性では不眠症と早期の死亡にこのような関連性は見られない。不眠症の女性とそれ以外の女性のどちらも、対象期間の死亡率は2%をやや上回る程度だった。

「男女の違いには2つの理由が考えられる。女性の調査は後から始まったので、男性よりも追跡期間が短かったこと。また、男性の不眠症は絶対数は少ないが、症状が深刻化するケースが多いことだ」とブゴンツァス氏は説明する。

 論文では死因について言及していないが、「不眠症が直接の原因で死亡することはない」とブゴンツァス氏は言う。その代わり、患者は慢性的な不眠症によって徐々に消耗し、ほかの病気にかかりやすくなる。例えば今回の研究では、糖尿病や高血圧も患っていた不眠症の男性は、比較的健康な不眠症の男性よりも調査期間中の死亡率がさらに高かった。

 不眠症の原因はまだほとんど解明されていない。「生まれつき寝つきの悪い人がいるだけだ、という意見もある」とブゴンツァス氏は話す。さらに、不眠症の治療方法も不明な点が多いという。例えば、ほとんどの不眠症の治療薬は不定期に発生する不眠の改善が目的で、認知行動療法のような心理学的介入も重症の不眠症患者には効果がないようだ。

「公的機関や企業はより良い治療法の研究を支援し、医師たちは不眠症の診断にもっと真剣に取り組む必要がある。医者の間では”不眠症は厄介者”と思われてきたが、そのような姿勢を変えなければならない」とブゴンツァス氏は指摘している。

 今回の研究は9月1日付の「SLEEP」誌で発表された。


ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイトより 

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